愛して。Ⅱ ~不良俺様ボーイズ×絶世美少女~【完】
「はぁ」
普通に聞こえるくらい大きく吐き出された溜息。
持ち主の蓮はむくれた様に細められた目のまま、嫌々あたしを引っ張っていた手を離す。
その顔は仏頂面で、正直蓮のことを知らなかったら怖いと思う。
だけど、
「帰りは隣に座ろうね」
そう言えば眉間の皺が緩和されるのを見て、ちょっと可愛いだなんて思った。
菜穂の車の助手席に乗り込んで、シートベルトを付ける。
菜穂は全員乗り込んだのを確認してから、エンジンをかけた。
「場所、変わってないのよね?」
「はい」
「そう…」
菜穂と蓮が軽く言葉を交わして、菜穂がハンドルを握る。
「じゃ、行きましょうか」
横目に菜穂がニッと笑うのがわかる。
それを見て、あたしは笑い返す。
「そう言えばこの間ね、」
動き出した車の中で繰り返される会話に、どこか幸福感を感じた。