愛して。Ⅱ ~不良俺様ボーイズ×絶世美少女~【完】
どのくらい時間が経ったかわからない。
フラッと現れた人影は、いつもよりカチッとした服装ではあるけど、確かに颯だった。
「颯!」
名を呼ぶと、ゆるりと片手を上げて歩いて近づいてくる。
バイクはみんなと同じように置いてきたみたいだ。
「遅かったじゃん。何かあったの?」
隼がそう尋ねると、颯は小さくため息を吐いて口を開く。
「それが、何か変な奴につけられてたんだよね。撒いてたら少し時間かかった」
ゲンナリしたように言う颯は、疲れているように見える。
その疲れが、変な奴を撒いてきたからなのか、それとも……。
それとも、実の両親に会ったからなのか……両方か。
颯にしかわからないけれど、嫌な感じは決してしなくて、両親に言いたいことが言えたのかもしれない、と思った。
全員がそろったところで、高台に入っていく。
自由に出入りできるそこは、一番上まで登ることができる。
そこに登れば、この街を一望することができた。
「わぁ……」
小さく、感嘆の声を上げる。
だけど、それ以上は何も言わず、目の前のそれに目を奪われていた。