愛して。Ⅱ ~不良俺様ボーイズ×絶世美少女~【完】
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『ん……もっとぉ……』



小さなアパートのワンルーム。

たった一つの部屋に、母親の声が響いている。

それがどんな行為なのかも知らないような幼い頃から、あたしはずっと、その光景を目にしてきた。

それが日常で、普通だと思っていた。そんなものだと思っていた。



5歳になった頃、家にやってくる男たちのあたしを見る目が変わった。



『可愛いね。名前は?』



声をかけてくる男たちに、あたしは答えることがなかった。

男たちがあたしをそういう対象で見るようになっていたことを、気づいていたから。

母親にしていることと同じことをあたしにしたいのだと、気づいていたから。

母親は男たちの興味があたしに移ったことに、激怒した。



『あんたさえ……あんたさえいなければ……』



怒りは頂点を超え、いつしか母親はあたしを殴るようになった。

それでも、あの日まではあたしの中でこの人は“母親”だった。

幼いあたしには、母親しかいなかったから。



だけどあの日――12歳のあたしは、ハジメテを奪われた。

母親の男の中の、一人に。
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