愛して。Ⅱ ~不良俺様ボーイズ×絶世美少女~【完】
勢いよく目を開く。
両目から溢れる涙で、目の前が歪んでいる。
「真梨!大丈夫か?」
涙が溢れれば、あたしの顔を覗き込む蓮が見えた。
ベッドに身を乗り出すようにしている蓮に手を伸ばして、首にしがみつく。
「蓮……っ」
「どうした?怖い夢でも見たか?」
蓮があたしの背中に腕を回して、抱き締め返してくれる。
蓮の優しい声が鼓膜から脳に響く。
蓮の声に安心して、涙が止まらない。
「も、やだぁ……」
蓮が頭を撫でてくれる。
蓮もベッドに乗り上げて、恐怖で震える体をぎゅっと抱きしめてくれた。
あのおじさんが怖い。
あたしはずっと、一人で生きてきたのに。
あたしを知っているおじさんが怖い。
あたしの知らないあたしを知っていそうで……。
全部忘れたい。何も考えたくない。頭の中が、ぐちゃぐちゃだ……。
全てを吹き飛ばしたくて、震える手で蓮の頬に触れる。