愛して。Ⅱ ~不良俺様ボーイズ×絶世美少女~【完】
正当防衛で済ませれば、大きな問題にはならない。
親父だって、息子を捕まえてほしくはないからね。
「じゃあ、俺蓮のところに行くから」
「ああ、気をつけろよ」
背を向けて、校舎内に入ろうとした――その時。
「待て!! 隼!!!!」
「え? な、に――」
背中を押されて、地面に倒れる。
くそ、油断した! まだ意識がある奴がいたのか!
俺を押した野郎を沈めようと振り返ったが、見えたのは見慣れた後ろ姿だった。
左腕を右手で庇うように抑えている。
背中を向けた親父の前には俺がさっき転がした中の一人が立っている。
何が起こったのかよくわからず、心臓が嫌な音を立て始める。
親父が男の手を蹴り上げ、きらりと光る物が地面に落ちた。
「ナイフ……?」
銀色に輝く、小型ナイフ。
親父の左腕を庇う右手の指の間から、赤い物が滲んできている。
まさか、親父が俺を庇って……?
「親父、それ……っ」
ガンと殴られたように、グワングワンと頭が揺れているみたいだ。