愛して。Ⅱ ~不良俺様ボーイズ×絶世美少女~【完】
だから気づいた。
夜の繁華街で遊んだり獅龍に入ったりしたことを怒ったのは、俺を心配してくれていただけなんだって。
それに気づいてからは、あまり反抗的な態度を取らなくなった。
できる限り毎日家に帰り、たまに親父と出かけたりするようになった。
それから数年、ここまで親父との関係が良くなったのは、仲間と親父本人のおかげだ。
仲間が、親父が支えてくれたから、生きてこれたんだ。
でも、その大切な親父が今、血を流している。まるで、あの日みたいに。
目の前が赤く染まった、あの日に――。
「親父っやだ!死なないで!」
「隼、落ち着け。大丈夫だ。このくらいじゃ死なない」
親父が俺の頬を掴んで引っ張る。
「いひゃい……」
血のついた手が、離れていく。
その手が与えてくれた痛みで、少し冷静になれた。
「お前が何をすべきか、わかるか?」
「蓮たちと合流して、応戦する……真梨を守る」
狙われているのは真梨だ。真梨を守り抜けば勝ちだ。単純で、明快な結論。
「それなら、お前は今ここにいるべきじゃないな」
「うん」
蓮のところに……真梨のところに行かなくちゃ。
「行ってくる!!」
「ああ、行ってこい」
「親父はちゃんと病院行けよ!!」
親父に背を向けて、学校の玄関に向かって走る。
後ろから「おう」と親父の声が聞こえた。