愛して。Ⅱ ~不良俺様ボーイズ×絶世美少女~【完】
俺を下から睨む目は上目遣いで、
あの頃とは違う、ライトブラウンの髪が揺れる。
胸も一回り大きくなっていて。
俺も菜穂も、知らない人になっていた。
菜穂の両手を片手で掴んで、頭の上で固定する。
「大河…っ?」
困惑したような声も、関係ない。
そのまま菜穂を見下ろして、開いている片手で菜穂の体を撫でる。
ピクリと反応する体は変わらない。
甘く歪む表情も変わらない。
俺の名前を呼ぶ声も変わらない。
でも、
「やめてよ…」
泣きそうな声で俺を拒否する菜穂を俺は知らない。
「もう終わったでしょ……?」
終わった、全て。
二年前のあの日に。
「じゃあ、なんでっ」
何で今更、俺の前に現れんだよ――…
吐き出した言葉は、止まらない。
「分かってたんだろ?こうなるってこと。確かに俺は、菜穂がここに来ることを了承した。けどなぁ――」
菜穂の瞳は、困惑に揺れる。
「こうなるって分かってて、そうした」
俺も菜穂も、わかってたはずだ。
俺達はもう、あの頃とは違う。
あれほど純粋にもなれないし、大人にもなれない。
だけど、
心が、あの頃に引き戻される。
体が、菜穂の温もりを覚えてる。
二年前、俺と菜穂が付き合っていた頃を、俺は忘れてなんかいねぇ。