愛して。Ⅱ ~不良俺様ボーイズ×絶世美少女~【完】

「それから私は、毎日死にたいと思いながらも絵を描き続けた。描き続ければ、リリーが側にいてくれる気がした」



ヘンリーさんの苦しみが伝わってくるみたいだった。

愛する人を突然失って、この人はどれだけ苦しんだんだろう……。



「そのあと描いた絵で、私は大きな賞を取った。百合の花畑とリリーを描いた作品だ」



会場の中心に目立つように展示された絵を思い出す。

蓮は、あの絵の女の人をあたしに似てるって言っていたっけ……。

百合は英語で「lily(リリー)」。

梨里さんを想って描いた作品だったんだ……。



「マリーには、申し訳ないことをしたと思っている……」



あたし、この人を責められない。

あたしも蓮を失ったら……そう思うと、自分の苦しみも憎しみも、やるせない。



「謝って、許されることじゃない。それに、あの人はマリーに本当に酷いことを……」



驚いて、ヘンリーさんを凝視する。

あの人って、まさか……。



「知ってるん、ですか」



あの人が……あたしを育てたあの女が、あたしに何をしたのか。
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