愛して。Ⅱ ~不良俺様ボーイズ×絶世美少女~【完】
梨里さん……あたしの母親。
全く覚えていないけれど、あたしがいなくなって病んでしまった彼女は、あたしのことを本当に愛してくれていたのかもしれない。
「考え、させて下さい……」
ヘンリーさんの顔を直視できず、俯く。
あたしにとって、母親は憎らしくて恐ろしい生き物。
梨里さんはきっとそんな人じゃないって……頭の中では分かっているけれど……。
「ヘンリーさん、すみません。真梨に少し考える時間をやって下さい」
「あ、ああ……そうだね」
「真梨、帰ろう」
いつも以上に優しい蓮の声色に安心して、小さく頷く。
「マリー。いつでも、待ってるから。いつまでも、私たちは君を、愛しているよ」
ヘンリーさんのその声に振り返ることなく、あたしと蓮はスタッフルームを、個展会場を後にした。