愛して。Ⅱ ~不良俺様ボーイズ×絶世美少女~【完】
私は首を横に振る。気づけばあたしの瞳からも涙が零れていた。
「梨里さん……あたしっ……」
あたしは、謝ってもらう資格なんてない。
あなたからもらった全てを、恨んでた。
容姿も、身体も、全てを利用して……恨み、憎んでたんです。
だから謝らないで……。
その言葉は、出てこなかった。
梨里さんがあたしの右手を両手で包み込む。
「来てくれて、本当にありがとう。生きていてくれて、本当にありがとう……」
梨里さんの手があたしの手から離れて、顔に伸びてくる。
「顔を、よく見せてくれないかしら」
そう言われ、車いすの梨里さんに合わせて屈む。
あたしの頬に触れた梨里さんの手は、蓮のそれのように冷たかった。
「ごめんなさい。冷たいわよね」
「いえ……大丈夫です」
蓮で慣れてます、とは言えない。
そのまま梨里さんの手が首の後ろに伸びてきて、そのまま引き寄せられる。
思いの外強い力だった。
不格好にも抱きしめられ、穏やかな優しい香りが胸一杯に広がる。