愛して。Ⅱ ~不良俺様ボーイズ×絶世美少女~【完】
『信じてくれた?』
菜穂の言葉が俺の胸に突き刺さる。
“水川真梨”
それは常にその頃から噂の中心で、話からして遊び人ではない真梨がそう呼ばれていて。
――きっと俺は、信じなかったと思う。
真梨が、水川真梨が、遊び人じゃないって。
寧ろ人間不信のただの女の子なんだって。
きっと、信じなかったと思う。
「……」
「信じてくれない、でしょう?あたしだって最初は信じられなかったもの。
噂の水川真梨が、本当は遊び人なんかじゃないって」
冷たい笑みを零して、菜穂は続ける。
「だから、言わなかった。言えなかった。
もし信じてくれたとしても、きっと大河は真梨に会いたがると思ったし。
あたしだって不安だったんだよ?もし真梨を見て大河が好きになったりしたらどうしようとか考えたし。
――真梨は、誰から見ても綺麗だし、可愛いから。
真梨はそんなこと望んでなんかいなかったのにね」
「……」
「それで、そのクラスメイトの男と真梨とあたしの家で他愛もない話をしてた。
男の方は爽やかで社交的、男にしては几帳面で乱暴な言葉遣いもしない奴だったからか、最初はビクビクしてた真梨もあたしとそいつが話しているのを見て少しずつ馴染んでって。
最後には、そいつに対しては結構普通に話せるようになってた。
そんな時だよ、大河が来たのは。
その後は大河も知ってるとおり。
なかなか玄関から帰って来ないあたしを心配してかけたその男の声に大河が勘違いして、別れた。
それで終わり」
最後は淡々と述べた菜穂の表情は何とも言えない。
感情が見えなかった。