愛して。Ⅱ ~不良俺様ボーイズ×絶世美少女~【完】
優しく、嬉しそうに笑いながら、あたしを離さない蓮。
近くにいた隼から「甘っ」という文句が聞こえたけれど、蓮はどうでもいいらしく、あたしの意見を聞き入れることもなくあたしのポニーテールにされた髪を指に絡めて遊び始めた。
数分、あたしは何も言わずされるがままになっていた。
「蓮……」
「ん?」
「暑い」
ただでさえ夏で暑いと言うのに、くっついてるあたしたち2人。
流石にもう限界だ。
「じゃー…海入るか?」
「うん、そーしよ」
先に立ち上がった蓮に手を引かれて腰を上げる。
蓮に一番上まで上げられたパーカーのジッパーを下ろす。
蓮はそれに面白くなさそうな顔をしているけれど、海に入るには仕方のないことだともわかってくれているのだろう、何も言わなかった。
着ていたパーカーが、肩から落ちる。
下着同然の露出に、妙な緊張感を抱いた。
――自分に似合う色は、分かっているつもりだ。
ピンクとか白とか、ふんわりとしたパステルカラー。
だけど、あたしが今着ているのはそのどの色でもない。
ぼんやりとした、あたしの目の色である薄い水色よりも濃い、深い海の色。
荒んだ水色のような自分の目の色より、
金色とも言えない微妙に茶色がかったハニーブラウンの髪色より、
あたしはハッキリした色が好きだ。
なんとなく、遊び人の頃の作った自分を消したくて選んだ色。
深い海の色なら、あたしの目の色も、髪色も、全て消してくれる気がして。