愛して。Ⅱ ~不良俺様ボーイズ×絶世美少女~【完】
それからしばらくして、蓮は急にあたしの体を自分から離すとあたしの腕を引っ張った。
あたしはそれに何も言わず、少し小走りについて行く。
そのうちピチャピチャと音を鳴らした海があたし達の熱を緩和させた。
初めて入る海は少し冷たいくらいで、それが心地いい。
海水の高さがあたしの胸、蓮のお腹に来た頃、あたしに背を向けていた蓮が振り返った。
「真梨?」
不思議そうにしている蓮の視線の先には、蓮の体温が伝わってくるあたしの腕。
掴まれている右腕はそのまま、蓮の掴んでいる左腕をあたしの左腕が掴んでいる。
若干あたしの腕が震えていることにも、蓮は気づいているだろう。
「どうした?」
「……」
「真梨?」
心配そうにあたしの顔を覗き込む。
「蓮……」
「ん?」
「……ふ、深いっっ」
「は?」
あたしの震えた声と、蓮の間抜けな声。
周りにはほとんど人がいない。
「もしかして……怖い?」
「……」
「図星か」
だって……仕方ないでしょ?
海に入るのなんて初めてだし、
プールだって最後に入ったのは小学校の頃だし、
しかも、あたし……
「カナヅチなんだから、しょうがないじゃん」
泳げないんだから――…