愛して。Ⅱ ~不良俺様ボーイズ×絶世美少女~【完】
ピッタリとくっついていることに恥じらっているうちに沖へとまた進み始める。
いつの間にか蓮とあたしの胸辺りの水位になっていて。
下ろされていたら、確実に足はつかない。
「ちょっ」
「イテッ」
咄嗟に蓮の首に掴まっている両腕のうち右手で蓮の首元を叩けば、上目に睨まれる。
「叩くなよ」
「じゃあ動かないで。てか戻って!」
「うるせー」
「ならもう戻って!おろして!」
暴れるあたしの腰を、持ち直す。
「ほんと、蓮……‼︎」
「真梨……」
突然、だった。
唐突に聞こえた、蓮の甘く、掠れた声に息が詰まる。
胸がドクドクと苦しくなって、体が震えた。
まるで、もっとその甘い声を欲しがるかのように。
約2ヶ月、蓮とあたしは一緒に過ごしてきた。
甘い時間もあった。
だけど、知らない。
こんな、甘く、誘うような蓮の声――。
一体、蓮は何処でこんな声を覚えたの……?
こんな、離れられなくなるような甘い魅惑の声……。
それは確かに、あたしの知らない蓮だった。