愛して。Ⅱ ~不良俺様ボーイズ×絶世美少女~【完】
「真梨」
お風呂から上がって、女用のえんじ色の浴衣を着て。
暑いね、なんて菜穂と言いながら、脱衣所から外に通じる暖簾をくぐった時だった。
声だけで、わかった。
姿を瞳に映さなくても、わかった。
「真梨……」
後ろから抱きしめられて伝わってきた温もりは、あたしが焦がれている愛しい人。
「あたし、先に戻ってるね」
気を利かせたようにそう言って、背を見せる菜穂。
それを見届けることもないまま、あたしは愛しい人によって振り向かせられた。
目に入ったのは、漆黒。
さらりとストレートの黒髪が揺れて、綺麗な銀の瞳と目が合う。