愛して。Ⅱ ~不良俺様ボーイズ×絶世美少女~【完】
パッと鯉から視線を外して、音がした方を振り返る。
ここはみんなが寝ているところから離れているし、きっと今の何かが落ちたような物音には気づかない。
気づいているのは、今ここで起きているあたしだけ。
それに……。
『っざけんな‼︎‼︎』
あの声は……。
庭園から出て、音がした方へ急ぐ。
「なんで、なんでそんなことになるんだよ‼︎」
彼らしくない、荒ぶった声のする戸を開いた。
見えたアッシュブラウンに、やっぱり、と思う。
「――颯」
あの声は、確かに颯だった。