愛して。Ⅱ ~不良俺様ボーイズ×絶世美少女~【完】
そう荒ぶったのと、ほぼ同時だったように思う。
「――颯」
男とは違う、女特有の高い声。
聞こえた瞬間に、誰だかわかった。
嫌なところを見られたな、と思った。
大きな声を出した本人が言うことじゃないけど。
「真梨ちゃん……」
ゆっくり後ろに振り返る。
そこにはやっぱり、寝起きなのか浴衣を着たままの真梨ちゃんがいて。
少し戸惑っているかのように視線をさまよわせている真梨ちゃんを見て、ハッとした。
ここを出なくちゃ、と思った。
真梨ちゃんを連れて、とにかくここを離れようと思った。
――ここを一度離れて冷静にならないと、本気で親を傷つけてしまうと思った。
真梨ちゃんの腕を掴んで、力任せにそのままそこを飛び出した。
【颯side end】