愛して。Ⅱ ~不良俺様ボーイズ×絶世美少女~【完】
颯が立ち止まったのは、さっきの庭園を眺めることのできる木でできた長椅子の前だった。
スッと手が離されて、重力に逆らわずに体の脇に落ちた。
「あれ、俺の父親」
「あ、うん」
突然の発言に、間抜けな返事をしてしまった。
やっぱり、あれは颯のお父さんなんだ、と理解する。
切れ長の目が涼しげで、ひょろっとしたお父さんと、たれ目が印象的な癒し系のお母さん。
対照的にアーモンド型の二重の目を引き立てるかのように配置された高い鼻に薄い唇、180cmに近い身長で細身の――颯。
「似てないでしょ、俺たち親子」
本当に、彼等は似ていなかった。
颯が椅子に腰掛ける。
横に座れと颯が顎で示すから、私も颯の横に座った。
「どこから聞いてたの?」
「どこからっていうほど聞いてない」
「どこから」
しつこい颯に小さく息が溢れる。
「別に……多分、お皿が割れた音が聞こえた。 それだけ」
「ふーん、本当に?」
「……颯の声がちょっとだけ聞こえた」