愛して。Ⅱ ~不良俺様ボーイズ×絶世美少女~【完】
「……うん」
前髪が、少し俯きがちな颯の顔を隠す。
その向こうがどんな表情をしているのかあたしには見当がつかない。
「そうだね……その通りだ」
でも、と颯は小さく呟く。
「自分がどうしたいのかわからない俺は、どうしたらいいのかな」
「颯……」
足の上で握られた颯の両手の筋が浮き出ている。
よっぽど強く握っているんだろう。
「別に実の親に会いたいとは思ってない。 だけどきっと父さんたちは一度でいいから会って来いって言うと思う。
もし会いに行ってもどうなるかわからない。 一緒に暮らそうとか言われたらぶん殴るかもしれない。
だからと言って会いに行かなかったら父さんたちは納得しない。 絶対会いに行けって言う」
多分颯も、際どいところにいるんだろう。
会いたくない、でも会わなかったらお父さんたちは納得しない、つまり気まずくなるかもしれない。
それに、自分を捨てた両親を目の前にして冷静でいられるか……そんなの、きっと無理。
あたしだって無理だ。