心の中で。
「ね、どこ行くの?」


かれこれ30分くらい走りっぱなしの車に、不安になって尋ねた。


「ん~…内緒!」


怪しいほど満面な笑みを浮かべて返事をする。


「さっきからそればっかりっ」



賢の考えてることが全然わからなくて、拗ねるあたしはふいっと窓から景色を眺めた。




「あれ…?」

つい零れた声。

窓から眺めた景色は見覚えがあるものだった。




なんだろう。いつだったっけ……




思い出そうと頭をかかえていると、急に賢が声をあげた。

「もう、見えるぞ。」

その声を聞くままにまた外を見ると、





「海だあっ!!」

目の前には海が広がっていた。
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