心の中で。
高校総体の試合や、練習試合から研究されているのか、明らかに佐野先輩にマークが偏っている。


そりゃ、佐野先輩はキャプテンだし、エースだし…


しょうがないかもしれないけど、もどかしい。


ゴールに向かう佐野先輩は、たくさんのマークに囲まれていた。





あれは…抜けない。


「7番空いてるーっ!」


ベンチからは、味方にパスを促す声もかかっている。


だけど…





佐野先輩は、強引にマークを振り払った。

まるで、自分の中の、何かをも振り払うかのように。
< 133 / 194 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop