心の中で。
「賢…聞いて。そう言ってくれるのは、嬉しい。だけど…甘えちゃ駄目なの。このままじゃ、賢を傷付ける。」



その言葉で、つい大きな声が出た。





「俺なんていくらでも傷つけろよ!」


「え…?」




美玲の声は、どんどん涙声にかすれていく。


「もっと、俺を利用しろよ…!俺がお前を、笑顔にしてやるから…………好きなんだ…!」


「賢…そんな…こと、できない、よ……。」




だんっ!


俺は、拳を壁にぶつけて、うなだれた。




「あのね、あたし…やっぱり佐野先…輩が、好き…な…の。でも…」


とぎれとぎれに聞こえる、悲しげな美玲の声。だけど…





でも?



でもって…何だ?


俺はテレビを消し、全精神を電話に集中させた。
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