心の中で。
「…やっぱり。転んで腕ついたときね。多分捻挫だから、帰ってすぐ湿布して。ここも、擦りむいてるから…絆創膏、あげるね。」



そう言って鞄から絆創膏を出して、手渡した。



「ありがとう!お姉さん!」



女の子は嬉しそうに立ち去っていった。





「しかし、よく声かけたな、美玲。」


後ろで見ていた賢が、近づきながら話しかけてきた。


「なんかね、選手が手をついて捻挫したときに、似てたの。選手って結構我慢するから…それで骨折とかするんだけど。それであの子もちょっと…気になっちゃって。つい……。」





自分でも、ちょっと不思議。


なんだか、気づいたら声をかけてた。





でも、なんで転んだとき両手つかなかったんだろ。


その方が右手にかかる負担も軽減したんじゃないかな?




…まぁ考えててもしょうがない、か。


気を取り直して、また賢と2人で歩き出した。
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