心の中で。
「―――一緒に食事しようって…ことか。」



奈津の家族は、いつもそれだ。


ちょっとめでたいことがあると、食事に連れてってくれたり、すげーもんをおすそ分けしてくれたりする。


嬉しいことだけど、その量が多すぎるのがたまに傷だ。



「ま、そういうこと。行きましょ!だって未来の家族のお祝いですもの~っ!!」



上機嫌な奈津に言われるがままに、ビデオを止め、上着を着て、出かける準備をした。

出かけてみると、街はクリスマスムード満載で、少し切ない気分になる。



高崎は今、あの男と一緒に過ごしているのか…?



「でね、……ったら…」

「ああ…」



奈津の話しを曖昧に返事しながら、イルミネーションを眺める。


「哲也~もう、おめでたい日なのに、どうしたの?」

「いや、なんでもねぇ…。」


クリスマスの雰囲気にあてられたのか、いまいち集中していない。




ふっと前を見ると、雑踏の中で、高崎の姿が見えた。
< 178 / 194 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop