心の中で。
「あ、このごみ捨ててきますねーっ」

「あぁ…」

「これはどこに置けばいいですか?」

「えっと…」


あたしが色々尋ねても、佐野先輩は淡白に答え、黙々と掃除を続ける。

それが繰り返され、掃除なんて…思ったよりあっという間。


「終わったぁ~っ」


そう思いながら時計を見ると、あまり進んでいない長針。

30分、もかからなかったんだ。

もっとかかっても良かったのに。



そんなこと思うあたしは、やっぱり優勝の喜びで、テンションがおかしくなってるのかもしれない。


「それじゃあ、お邪魔しました!」


掃除も終わったし、あたしが留まれる理由なんて、ない。

帰ろうとドアに手をかけると、



「ちょっと待てよ!」


ふいにかけられた声。




「…どうしましたか?」

振り返ると、ちょっとうつ向く先輩がいた。

「…………………送る。もう遅いし。」



その言葉を聞いたとき、渡井君に言われたとき感じた、申し訳ない気持ちだけじゃなくて、嬉しいって思う気持ちも生まれてた。



「い、いいですよ!近いんですからっっ悪すぎます!先輩は休んでくださいよ!!」


だけど嬉しい反面予想外なことにうろたえる私。

両手を振って全力で断ってはみたけど、

先輩はそんなこと気にもしなかったみたい。




「……心配だろ。」

って、一言。
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