心の中で。
「美玲~っっ!!」

体育館内に入ってからしばらくすると、突然名前を呼ばれた。


応援席を見上げると…早苗が手を振っていた。


手を振り返したあと、お互い走ってエントランスホールへ移動して手を取り合う。



「もう来たんだぁ!早いねっ」


嬉しさを持て余して、あたしは取り合った手をぶんぶん振り回した。


「美玲興奮しすぎっ!…なんてね。なんかいてもたってもいらんなくてはやく来すぎちゃった~。」

そういってえへっと早苗は舌を出して見せる。



「淳史補欠だけど…出る可能性あるから楽しみにしてて!」

「もっちろん!淳史見に来たんだもんっ」


ちょっと照れながら、だけど嬉しそうに笑って言う早苗を見て、幸せそうだなって思った。



…良かった。


あたしも早苗がいなくて寂しいなんて言ってらんないな。



少し雑談したあと、早苗は応援席に。あたしはベンチへ移動した。


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