心の中で。
「……っ待てよ!」


急に掴まれた肩。

そこから伝わる先輩の体温が…熱い。




「なぁ…避けないでくれよ。頼むから……」

消え入りそうな先輩の声。




…そっか。

先輩にとっては…意味もわからずに避けられてたのと同じことなんだ。


そりゃあ…ショックだよね。



あたしは、マネージャー。

選手を不安にさせるわけにいかないんだ。

なんで気付かなかったんだろう。

あたしは自分の気持ちを隠すためだけに……。





「あ…避けてたわけじゃないんです。でも、誤解させてすいませんっ」


先輩の方を向いて頭を下げた。


「………本当か?」

「はい!」


疑うように顔を覗きこむ先輩。


「今まで俺、結構傷ついたよ?」


一瞬、本当に寂しそうな顔をした。


「すいません……」

「お詫びに…アド交換してくんね?」


頭をかきながら照れる先輩が可愛い。


「………あはっいいですよ!」


もう、逃げない。



この気持ちは消すんじゃなくて、受け入れてしまおう。

そして、封印する。
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