心の中で。
家に帰ってから、机に向かってもちらちら携帯を気にしてしまうあたしがいる。


携帯のアドレス帳を開くと、


「佐野哲也先輩」


この項目に、自然と顔がにやける。

この気持ちを、否定なんてもうしない。

心の中で、思うだけは自由だから。





先輩はどんなメールをするのかな?


やっぱりそっけないのかな?

それとも意外に…顔文字派?


そんなことを思うだけであたしの胸は、ワクワクとドキドキでいっぱいになるんだから。



勉強なんてそっちのけ。


携帯の開閉を繰り返す。



あれだけ避けていたのに、やっぱり近づけると、嬉しくなる、現金なあたし。





でも…自分からは連絡はしないつもり。


だって、きっと甘えちゃう。

どんどん好きになっちゃう。

この気持ちをおもてに出すことは、決してないんだから。



だから先輩から連絡したいと思ってくれるときが…あるといいな。


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