心の中で。
…好き?

渡井君が…私を?


状況がうまく掴めなくて、あたしはまだ黙ったままだった。



「どした?なぁ…俺と付き合って?」


あ、そういう意味だったんだ。
……自分の理解力の低さが笑える。




……あれ?




冷静になって考えてみると、


「渡井君、部内は駄目…じゃない?」


そうだよ!付き合ったら部内恋愛になっちゃうじゃんっ




「関係ねーよ。だって…美玲放課後哲也先輩といつも一緒じゃん。俺だって、ずっと美玲を見てたんだ。このまま見てるだけなんて、できなかったんだよ!」



「え?佐野先輩となんてそんな…偶然だよ?」

とっさに、嘘をついた。




「嘘つくなよ。だって俺、知ってるんだ。美玲が…図書館にいつも決まった時間にいなくなるから。それで、見に行ったんだ。」




───見られていたなんて。


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