IMITATION LOVELESS
回りの赤に負けないほどの青さにどんな花にも劣らない美しさだった。
憐は如雨露を持ち出し、青い薔薇に水をあげる。
花弁についた水滴が昼間の太陽の光を浴びて輝いている。
眩しいくらいの美しさだった。
「この薔薇のコトを教えたのは二人が初めてよ」
「え…?」
「どうして…?」
二人の驚いた顔を見た憐は困ったように微笑むと、後ろ手に手を組み、クルリとその場で回る。
「わからないけど…二人には、この薔薇のコト 知って欲しかったんだ」
憐は二人に背中を向けながら小さな声で呟いた。
その声はか細く、風の音に掻き消されんばかりの小ささだったにも関わらず、優夜と刹那の耳には確かに届いていた。