IMITATION LOVELESS
「姫様、モーニングティーをお持ちしました」
憐は微笑むとイスに腰掛け、紅茶が注がれるのを見ていた。
ふと憐は周りを見渡す。
「刹那は?」
「刹那は薔薇園の手入れに行っています」
優夜はふわりと湯気の立つカップを憐の前に音もなく置く。
美味しそうなミルクティー。
憐の一番好きな紅茶だ。
甘い香りが湯気に乗って部屋中に広がった。
憐が一口紅茶を啜ったのと同時に優夜が窓辺に寄り掛かる。
外を見ながら小さく呟いた。
「…サヨナラをもっと君に早く言えたら……こんなに…」
「優夜…?」