IMITATION LOVELESS
「今の姫様の顔…最高に面白い」
「ゆ 優夜!」
そよ風が流れる。
三人の髪を遊ばせる風は、柔らかく、優しさが感じられた。
三人は一頻り笑ってから屋敷内に戻ることにした。
屋敷内に入ったとき、黒髪の青年が憐達を引き留めてきた。
「蜩…」
「姫様 新しい召使いですか…?」
「えぇ…。 優夜と刹那よ」
憐は目を泳がせながら青年に二人を紹介した。
青年は二人を睨み付けると小さく頭を下げた。
「蜩―ヒグラシ です。 姫様の護衛を担当しています」
刹那と優夜も軽く頭を下げ、名乗る。
蜩は更に顔を歪ませながら優夜の胸ぐらを掴む。
「蜩!?」
「姫様に手ぇ出したら…承知しないからな」
蜩は乱暴に優夜を突き飛ばすと廊下を歩いて行ってしまった。