IMITATION LOVELESS
優夜は瞼を下ろし微笑んだ。
「大丈夫だよ…、俺なんかより、ずっと 憐のほうが辛いよ…」
優夜は目を細めて毛布の上から憐の腹部を優しく撫でる。
「それに、最悪の事態だけは防げるようにあの双子に 頼んだんでしょ?」
優夜は子供のように笑った。
その瞳には悲しみが深く滲み出ていた。
憐と離れたくない、瞳が訴えているようだった。
刹那は優夜の綺麗な瞳を見られず、俯いてしまう。
「刹那、」
「…?」
優夜は刹那を抱き締めた。
「…決めたことでしょ?」
優夜は刹那から離れると、紅茶をカップに注ぎ始める。
それが合図の様に、刹那が憐を起こす。
「姫様…朝ですよ?」