IMITATION LOVELESS
「憐 一刻の有余もないから…走って!」
「憐 安心しろ あんたの命は俺達が絶対護るから」
谺と魑の言葉に憐は俯きながら紅い雫を溢す。
「…………離して」
憐は双子の手を乱暴にほどくとその場から動かなくなってしまう。
「憐…! 急いで!」
「いや! 優夜と刹那に……会いたい…!」
憐は来た道を戻るように踵を返す。
双子の叫びを無視して走っていく。
ヒールの音が廊下に響く。
憐は前を見ず、走っていた。
曲がり角を曲がったとき、誰かにぶつかってしまった。
弾き飛ばされる憐の体。