IMITATION LOVELESS
「きゃ…!」
尻餅を着いてしまう憐。
ぶつかった人の顔を見るために顔を上げる。
憐は顔を綻ばせた。
「蜩…、優夜と刹那 知らない?」
「………召使いさんなら、この先に…」
「ありがとう、」
憐は蜩とすれ違いに微笑んでから、指差された方向へ走り出す。
蜩は小走りで走っていく憐の背中に弓矢の矢先を向ける。
狙いを定めて弓を引く。
「あと五秒で振り向かなかったら……殺しちゃうよ? 憐…」
蜩は小さな声で囁くと弓を更にしならせる。
矢先が鈍く光る。