IMITATION LOVELESS
二人は瞼を下ろし、笑う。
「一つだけ あったよ…」
「たった 一つだけ」
二人は憐から体を離すと満面の笑みで憐の瞳を見た。
「「憐がこれからの生活を、笑顔で過ごしてくれること」」
刹那が甘く囁きながら憐の唇を塞いだ。
舌を巧みに利用して憐の口内に自分の口付けの味わせているようだった。
「ん……せ…っ、な…」
二人の唇が離れる。
虚な瞳をした憐の薄く開いた唇に優夜が唇を重ねてくる。
「ぅ…ん……、ゅ……や…、」
苦しげに閉じられた憐の瞼から一滴の涙がこぼれ落ちた。
その涙は、血の色ではなく… 透明な雫だった。