IMITATION LOVELESS
普段なら光を沢山反射させ、美しいアクアマリンの瞳だが、今はくすみ、汚れてしまった。
亡くしてしまった愛するもの。
その存在が憐の正気を失わせていた。
泣くだけでなく、時々自分の首を掻き毟る。
「憐! 止めなよ!」
「憐!」
谺が憐の手の喉から引き離す。
憐の白い喉が微かに赤くなっていた。
所々、皮が剥けている。
「……憐、これ」
谺は袖口から微かに皺のよった手紙を憐に渡す。
先程と何も変わらない暗蒼の瞳で手紙を睨み付けてから、静かに受け取る。