IMITATION LOVELESS
「まぁいい…」
老人は窓の外を見て薄気味悪く笑う。
そのまま、廊下の影に消えていった。
―――――。
「優夜 おじさまをあんまり困らせるな」
「ふん…」
優夜はズボンのポケットに手を入れてソッポを向く。
刹那がため息を着いたとき、後ろから二人を呼ぶ声が聞こえた。
振り返ると先ほど走り去っていった憐が色とりどりの薔薇を抱えて立っていた。
花束の中にあの青い薔薇は入っていなかった。
「ね 二人とも、この薔薇を僕の部屋に飾ってくれない?」
憐が頬を赤らめて微笑む。
薔薇にも負けないくらいの可憐さと美しさを振り撒いて。