IMITATION LOVELESS
不意に胸の高鳴りを感じた二人は、互いの顔を見合わせる。
頭上に"?"を浮かべている憐を見て優夜が首をふる。
刹那も微笑み憐が抱える薔薇の花束を受け取る。
「かしこまりました 姫様」
何も持っていない優夜が憐を軽々と持ち上げた。
「きゃっ」
「大人しくしてくださいね? 姫様?」
二人は優しく微笑みながら憐の部屋に向かった。
そんな三人の姿を気配を消し、影から見つめる者がいた。
憐と同じ金髪に、左右で違う輝きを放つ瞳を持つ双子…。
「ね 魑ぁ~、あの二人~ 怪しくない~?」
「谺もそう思うんだ…。 流石に侮れないね、お姉ちゃん」
双子はクスクス…と笑いながら姿を消した。
「ん?」
「優夜?」
「どうした?」
「いや……何でもないよ」
優夜は先ほど曲がった角を睨み付けてから刹那の後を追った。