IMITATION LOVELESS


刹那も懐から銃を取り出す。
玉をセットして、憐に銃口を向ける。
引き金に人差し指を添える。

微かに引き金を引いたとき、憐が声を発した。


「…ゆ…ぅや……、せつ……なぁ…」


憐の口から溢れた自分達の名前。
驚いた二人は目を見開き銃口を下げる。

もぞもぞと寝返りを打ったとき、無防備な寝顔が優夜達に向けられた。

長い睫毛、柔らかそうな唇、マシュマロのような白い頬。
どれをとっても、儚く、可憐なお姫様だった。

しかし、優夜達にはその可愛らしさが憎しみともなっていた。


「……早く起きないと、本当に撃っちゃうよ?」


優夜は妖艶に微笑み、憐の顎を銃口で上に向ける。


< 34 / 192 >

この作品をシェア

pagetop