IMITATION LOVELESS


憐の言葉には恐怖心は感じ取れなかった。
むしろ、銃口を向けられ、安心しているようだった。


「撃つなら早く撃った方がいいよ? 蜩が見回りに来る…」


憐は優夜の銃を掴み、銃口をこめかみに当てる。
そのまま静かに目を瞑る。


「………なんで 死にたいの?」
「え…?」


優夜は憐から銃を離し、くるくると回しながら聞く。
憐は思っても見なかった質問をされて呆然としている。

黒い耳を垂れさせて、口を小さく動かす。


「ここに……この世界に居たくないから……」

「何で? アンタは姫なんだよ? この国は姫が最大権力を握ってる」

「欲しいものなら、何でも手に入るだろう?」


刹那も銃をホルダーに仕舞いながら質問を投げ掛ける。


< 36 / 192 >

この作品をシェア

pagetop