IMITATION LOVELESS
憐の言葉には恐怖心は感じ取れなかった。
むしろ、銃口を向けられ、安心しているようだった。
「撃つなら早く撃った方がいいよ? 蜩が見回りに来る…」
憐は優夜の銃を掴み、銃口をこめかみに当てる。
そのまま静かに目を瞑る。
「………なんで 死にたいの?」
「え…?」
優夜は憐から銃を離し、くるくると回しながら聞く。
憐は思っても見なかった質問をされて呆然としている。
黒い耳を垂れさせて、口を小さく動かす。
「ここに……この世界に居たくないから……」
「何で? アンタは姫なんだよ? この国は姫が最大権力を握ってる」
「欲しいものなら、何でも手に入るだろう?」
刹那も銃をホルダーに仕舞いながら質問を投げ掛ける。