IMITATION LOVELESS
「あ…」
「「あ…」」
三人の目が見開かれる。
しかし少女は直ぐに真剣な顔付きになり礼儀正しくお辞儀をした。
「憐 です」
憐―レン。
彼女の亡き父が彼女に付けた最高の名前(自称だった)。
可憐で愛らしい少女になるという意味合いも込められていた。
「刹那です。 こっちは幼馴染みの優夜です」
「…」
刹那は深々と頭を下げる。
それに憐もお辞儀を返すが、優夜はお辞儀どころか動こうともしなかった。
二人をここまで連れてきた燕尾服姿の執事が優夜を睨み付ける。
「これ 優夜、姫様に失礼じゃ」
「優夜…です」
蒼髪の青年は紫髪の青年の後ろに隠れながら名前を口にしながら頭を小さく下げた。