IMITATION LOVELESS


「…ありがとう」


二人がタイツをガーターで止め、靴を履かせる。
そこまでの流れを見ていた憐が囁く。

二人はチラリと憐を見ると微笑む。


「ミルクティーでよろしいですか?」

「え…?」

「お嫌いでございましたか?」

「うんん……大好き…」


憐は召使い達に導かれるまま椅子に腰を下ろす。
目の前で暖められたティーカップにミルクティーが静かに注がれる。

甘い香りが辺りに漂い始める。


「……毒とか 入ってる?」

「言っただろ、時が来るまで アンタは殺さない」


刹那が憐の頭を撫でる。
憐は紅茶を啜りながら笑う。


「偽りの召使いね」


憐の言葉に二人は一瞬驚き、妖しく笑った。


「【信用することは、相手を思うこと―。】」

「【信用しないことは、相手を嫌うこと―。】」


二人の言葉に答えるように、憐は甘い声で囁く。


「【嫌われることは…いつか、訪れる未来。】」


< 43 / 192 >

この作品をシェア

pagetop