IMITATION LOVELESS
「すみません、こいつ 人見知りが激しくて」
「気にしないわ」
憐は紫の髪の青年、刹那―セツナ、蒼髪の青年、優夜―ユウヤ を連れて長い廊下を歩き始めた。
優夜と刹那の前を行く憐のお尻からは黒い尻尾が揺らめいている。
ぴくぴくと動く黒い耳としなやかな黒い尻尾に気をとられていた二人に憐は振り返らず声をかける。
「ね アナタたち、王族の人じゃないわよね?」
「はい。 私どもは庶民の身で御座います」
「………そう。」
「「…?」」
憐の暗い表情に二人は疑問を持ち歩みを止めてしまった。
優夜は憐に声をかけようとするが、刹那は優夜を止め、首を振った。
憐はため息を着いてから儚げで寂しそうな笑顔を返した。
「変なコト聞いてごめんね…? …ここのところ、色々あって…」
憐はもう一度ため息をつくと視界に入った二人の男女に声をかけた。
「谺、魑」