IMITATION LOVELESS
「憐………と 魑?」
「………」
初めは傘で見えなかったが、憐の隣には魑の姿があった。
何かを話しているのは見るだけでもわかった。
不意に憐が笑った。
―ズキ…
「ッ…」
「………っ」
二人は左胸周辺に突き刺さるような痛みを感じた。
心臓が痛いと言うよりは心の奥が痛いといった方が適切な痛みだった。
あまりの痛さに二人の息は微かに荒くなる。
窓の外に視線を戻すと魑が憐から丁度離れたときだった。
「……ホントに…どうしたんだろ…」
「ふぅ……疲れてるのかもしれないな、仕事二日目だからな…」
二人は胸を押さえながら廊下を歩いて行った。