IMITATION LOVELESS


「ふ……だから何だ?」

「……?」


刹那は妖しげな微笑みを溢すと双子を見て鼻で笑う。
その笑顔は見たものの恐怖心を煽るような笑顔だった。

ビクッ! と谺が震え魑の背中に隠れた。
魑はニヤリッと不敵な笑みを溢すだけで微動だにしない。


「じゃ 消えてくれない?」

「生憎だが、まだ仕事がある。 遊びたいなら、あの蜩って奴にでもかまって貰え」


刹那は今まで話に入らなかった優夜を連れて双子から遠ざかる。

残された双子は召使いの背中を睨み付けていた。


「ねぇ 憐はー この事知ってるのかなぁ~?」

「………試す価値あり…♪」


双子が手を繋ぎながら無邪気に駆けていく。

窓硝子からは夕暮れ独特なオレンジと藍色が混じった光が差し込んでいた。


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