IMITATION LOVELESS
「「【その儚い笑顔は俺達にだけ見せて欲しい】」」
昨夜の二人の言葉に憐は毛布に顔を埋めている。
耳を垂らし、尻尾を弱々しく振る。
テーブルの前では何事もなかったかのように召使い二人がモーニングティーを淹れていた。
憐は顔を毛布から出して声を絞り出す。
「優夜…」
「ん? 何?」
優夜は至って普通だった。
憐はあの言葉を聞いたとき、心が大きく跳ねた気がした。
それが今でも残っていた。
二人の顔を見てドキドキしている理由を憐はそう決めつけた。
「憐、朝食はクロワッサンでいいか?」
「刹那が作ってくれ…」
「「クロワッサンがいい!!!」」
憐の言葉を遮るように谺と魑が窓から現れた。
驚いたのは憐だけではなかった。
優夜と刹那も硬直している。
「朝っからクロワッサン! すっごく嬉しいぃ~!」
「マジ 嬉しい」
双子は窓から身をのりだし口々に朝食について話し合っている。