IMITATION LOVELESS
「一週間であの憎き姫を殺せなければ、我々が殺りに来る」
老人はそれだけを言うと席を立ち、帰っていってしまった。
優夜と刹那は俯く。
初めて、憐を殺したくないと思った瞬間だった。
拳を握りしめ、歯を食い縛る。
瞼をきつく閉じているとき、扉が開く音がした。
二人は顔を上げる。
途端、二人の顔が悲しみの色に塗りつぶされた。
視線の先には、扉に身を隠しながらこちらの様子を伺う憐の姿があった。
憐の表情はとても悲惨だった。
泣きそうに見えながらも、二人を憎んでいるようにも見える。
目は据わり、瞳には影がかかり光が妖しく反射していた。