IMITATION LOVELESS
長い長い廊下を歩き、たどり着いたのは中庭の一角にある素敵な薔薇園だった。
赤、白、黄色と薔薇が美しく咲き誇っていた。
あまりの美しさに優夜と刹那は唖然としてしまった。
憐は微笑むと薔薇園のさらに隅にある薔薇を一輪摘んできた。
「見て、二人とも」
憐が摘んできたのは青い薔薇。
不可能と言われた薔薇が憐の手の中で小さな命を燃やしながら咲いている。
「青い薔薇って…」
「自然に咲くことは無いはず…」
「なぜかね、生えてきたの。 私が物心ついた頃に」
憐は二人の手を握りしめ 、青い薔薇が咲いている花壇の前に連れていく。
他の薔薇に隠れて見えない場所には青い薔薇の小さな花畑が広がっていた。