Melt
「ごめん。甘えちゃったよね。」
いつまでもいたいけど、私の気持ちの整理はついてなくて。
きっと、あのキスは私をなだめるためだったけど、それだけが意味じゃないって気付いてしまった。
九十九の腕は心地いいけれど、私の心はまだ縁のもので。
だから、もう少し待ってほしくて突き放すようなことを言ってしまった。
「いいよ。初音はずるくても許す。」
思わずそのセリフに首をかしげる。
「確かに、俺は初音が好きだけど。付き合ってほしいとは言わないよ。でもずっとそばにいる。つらい時にはこうやって支えていければいいと思ってる。だから、いいよ。わがままでいて。」
だってさ、と九十九は続けた。
「俺が好きになった初音は、そいつ…ゆかり?のことが好きだっていう初音だから。それを含めて俺は初音を好きになったからさ。」
そして最後にこう付け足した。
「いっただろ?俺は初音の笑顔さえ見れればそれでいいんだよ。」